たそがれ怪文書♨

いたたまれない思いの丈を怪文書にしたためます。

仮面ライダー555 20th パラダイス・リゲインドを観た!

 

皆さん、お元気ですか。

またその入りですか。スマートブレインでは定型文は死です。

 

 

はい。

というわけでね、観てきました。

仮面ライダー555 20th パラダイス・リゲインド。

数年前に復活のコアメダルというクソデカやらかしを見ているんでこの手の企画はかなり警戒しがちな今日この頃。

威嚇すると令和5年5月5日のイベント行ってるんで誰より早くこの企画を教えてもらったタイプのオタクなのですが、脚本井上敏樹じゃなかったら絶っ対行ってないのでやっぱり敏樹って偉大だわ。

さて、感想なのですが……め〜〜〜〜っちゃ(大崎甘奈)コメントに困る!!!

確かに555だった。555でありすぎた。だからこその違和感や齟齬が発生するという観測上類を見ない形でお送りされた今作。

それではその謎に迫っていこう(昔のオカルト番組)。

 

 

◯作風について

まず、持っている論理や精神性は間違いなく555である。

そこは安心してもいいと思う。

しかし、作風はどう考えてもドンブラザーズとBLACK SUN(とアマゾンズを少々)の影響がかなり濃く出ていると感じた。

要はライブ感に脳を支配されているため、細かいことがおざなりなのである。

 

いいじゃん。

確かに。

というわけでこれは納得することにした。555だしむしろそうあるべきだよ。

 

 

◯精神面について

キャラクターの精神性は2003年放送当時から全くと言っていいほど変わっていなかった。

井上敏樹という男は芯から芯まで555のことを忘れていないのだ。

そのことに驚愕しつつ、20年の時がそれを邪魔しているという事実が結構根深く俺を攻撃してきた。

思考がハタチそこそこの若者なのに見た目がおっさんなんだよこの映画!!!!!

特に乾巧!それと園田真理!あと鎧武!(突然訪れる1号ミーム

 

彼らの精神のそれは間違いなく555放送当時のそれだった。

巧なんかは強がりと痩せ我慢を体現した男のわけで、そいつが助けてくれと言うほどまでに追い込まれている。

彼が一時真理から離れた理由も、手から灰が落ちるのが止まらなくなって洗濯物を汚してしまう(≒夢を叶えられない)からという非常にセンチメンタルなもの。

もし当時の姿でそれをやっているのであれば♨はいたく感動したのだろうが、なにせ20年。巧役の半田健人氏は非常にナイスミドルな昭和の男になっていた。

そ、その姿であまり情けない姿は見たくない……(小声)

この映画は井上敏樹半田健人も全力である。だから罪はない。しっかりと555だ。だからこそ、この20年という重みは視覚的な面で作劇に大きな影響を与えたと思うなぁ。

 

 

◯物語について

パラロスと比べるとかなりミクロ。

いや一時間弱しか貰ってないんだから当然か。

ガキ・♨にとってパラロスのオルフェノクに支配された未来というのはあまりにも恐怖体験であり、結構トラウマモノの映画であった。

今作では逆にオルフェノクは狩られる側として扱われており、スマートブレインはオルフェノクを殲滅しようとしている。社長は北崎なのに。それについては理由があるので後ほど。

兎角、当時を受けた衝撃を超えるほどの綿密な設定作りではないと感じた。

 

真理はオルフェノクを庇護しながら啓太郎にクリーニング屋を任されて生活しているという設定。

この設定どっかで見たことありますね。そう、アマゾンズです。だから何?と言われちゃそうなんだが、一応既視感は報告しようと思って……。

はい。

555の続編を描いた作品は数あれど、恐らく一番555最終回からの地続きであると言える設定だと感じた。井上敏樹だぞ。当たり前か。

あと死んだはずの草加は普通にクリーニング屋にいる。生きてるだけで面白いのに何なんだよ。ふざけるな。

 

物語の内容を逐一書いていると小学生の読書感想文じみて来るので割愛しますが、途中で真理がオルフェノクになる。

この設定どっかで見たことありますね。そう、BLACK SUNです。だから何?と言われちゃそうなんだが、一応既視感は報告しようと思って……。

はい。

 

で、一発ヤッてスッキリしたあとスマートブレインが向こうから殺されにきてくれたので殲滅。

この間に草加と北崎は政府がオルフェノク殲滅用に作ったアンドロイドであることが判明する(???????)。

今作の新作ライダーは全てスマートフォンで変身するので多分OSはAndroidですね。やかましいわ。

 

最終的には巧と真理はささやかな幸せを手に入れて終了。

楽園を取り返した、というセリフのいらないタイトル回収は結構好み。

特に手のひらを見る乾巧という存在はここ20年で死を暗示する演出として定番になっていたので、それを生命線が伸びているというしょーーーもない理由に変えて蹴飛ばしてくれたのはやはり井上敏樹、信頼できる脚本家だと感じた。

 

 

◯演出面について

ここ555ポイントめ~~~っちゃ(大崎甘奈)高い。

おもちゃを売るなんてこと微塵も考えてないその姿勢、当時の555そのものだ。

具体的にはネクスファイズなんて2回しか登場しないし誰も倒さずに終わる。ネクストカイザとかやられるために生まれてきたような使い方だし。

でもいいんだよ。それが巧だから……!(ここでパラロスに繋がる)

 

555といえば変身者の交代。もちろん今作にもあった。

正直、初期変身者の殺し方に関しては物凄い雑だったというか適当加減が今作でも群を抜いていたが、北崎の変身が大変カッコよかったのでヨシとします。

 

あと、あのパーティ空間に引き込んでからアクセルするやつ何?

555放送当時から、アクセルフォームの演出はかなり試行錯誤の連続だった。

十回に満たない登場のうち、おそらく同じ演出はない。

たまに音だけアクセルなのに普通に走るときも見受けられたが、カッコよく撮ろうという意識だけは共通していた。

が、今作のアクセル、あれは何?

ていうかラー油ってなんだよ。

ていうかラーメン屋が作劇に関係あったか?

意味ないものを楽しむのもライブ感か。そうかも。じゃあ納得ということで。

 

最終決戦はネクスファイズを捨てて旧型ファイズに変身し、Justiφ'sとΦマークの確殺印をバックに決めポーズ。

この旧型を最後に持ってくるプロットをトップガンマーヴェリック形式と呼ぶのですが(そうなの?)、最近これを見る機会がやたらと多いので若干食傷気味。

熱いのはわかるんだけども俺が555に求めてるのってこういう熱さなんだったっけ、わからなくなっちゃった。

少なくともパラロスほどのカタルシスはなかったので個人的にはちょっとズレてるかな……といった印象。

 

 

◯その他雑感

・ミューズの人が変身恥ずかしがるのは何ですかねあれ。普通に冷めるのでやめてね。

・ミューズの人が巧に寄り添うシーンはかなり昭和テイストを感じてここは20年分の役者の変化が活きたところだと感じた。

草加スマイルは時を経て健在、むしろうるささが増している。

・アンドロイド草加が真理を殴る時心底辛そうにしてるのは役者の妙だと感じた。やっぱ敏樹の愛人やってるだけあるね。

・きりもみ回転落下園田真理.gifはあまりにもチープすぎて少し笑ってしまった。

オルフェノクえっちはまぁ、何も言わないことにします。

・北崎役の藤田玲は当時14歳だったので今は35歳。演技力が留まるところを知らないで進化しているのちょっと恐怖ですね。

・海堂ってあんなにうるさかったっけ?なんかドライブ感じちゃった(発作)

・なんで啓太郎いないんだろうと思ってたけど役者さん引退してたんですね。でも甥役がいい感じに啓太郎の雰囲気を出していたのである程度埋められた感はある。けど出て欲しかったなぁ。

・クソデカマヨネーズを買ってくる乾巧物凄いしっくり来る。あいつはそういう男だ。

 

 

◯総論

劇場で見たときはラストバトルにノれなかったのも含めてイマイチだったなぁ……という感想だったのだが、だんだんと555濃度が高いなこれとジワジワくるものがある不思議な映画だった。

あまりこういう体験がないので新鮮な気持ちになっています。

30になっても新たな経験を与えてくれる脚本家、井上敏樹。偉大な男である。

SEED FREEDOMのようにふざけに徹したわけではないが、堅実で小さな幸せを与えてくれる良い映画だったと思う。

当時のファンは見ても損はないんじゃないかなぁ。

 

 

それではまた怪文書キメたくなったらやってきます。

おわり。