たそがれ怪文書♨

いたたまれない思いの丈を怪文書にしたためます。

ウルトラマンデッカーが信じた未来

TV版ウルトラマンデッカーは見えない未来を信じ続ける作品だった。
戦った先に何があるかはわからない、でも、そうやって生きていく。
それが未来に繋がるし、その願いは届くようになっている。そういう作品だった。

 


そうして「築いた未来が望まない未来」だとしたら?
今回の劇場版はそう問いかける作品だと思う。
僕は円谷が劇場版ウルトラマンR/Bで「平和になった後のヒーローはどうすればいいの?」という途方もない命題に立ち向かったことを知っていたので、この命題に気づいたとき既に頭の中では勝利確定BGM(とエアロビ)が流れていた。

 


スフィアという宇宙の脅威を打ち破ってしまったばかりに、侵略者がやってきたというのが今回のお話。
けれども、そんなことではブレないのがアスミ・カナタという人間。
今目の前にある問題をひとつひとつ解決していく。"俺のやるべきことは変わらない"これが答え。
なんとこの答えを予告編で流している(さっき確認して驚いちゃった)。
望まない未来であっても、それでも未来を信じ続けて先へ進む。
折れない。負けない。挫けない。本物のヒーローの姿がそこにあった。
アスミ・カナタというキャラクターの人間性を極限まで突き詰めた作品が今作だったと思う。

 


一方で、主題の答えの明確さに対して、そこに至るまでの過程はかなり間延びしていた感がある。
TV版で既にカナタと思考を共有し未来に進む邪魔をするな!とスフィアを一蹴したGUTS-SELECTの面々たち(というかイチカリュウモン)。
彼らの決意はそこで固まったはずだが、今作では一度折れてしまった。
ここがヒーローと人間の差異なのではあるが、ここを描く尺に20分くらい使ってたのはちょっと勿体ない。いや結構勿体ない。がんばれ。

 


そして欠かせないのがディナスとダイナの関係。
トリガーとティガが何故似ているかという話はフレンチクルーラー並にふんわりしていたが、
デッカーとダイナが何故似ているかという話はオールドファッション並にしっかりしていた。

 


ウルトラマンデッカーが未来の物語であり、継承の物語でもあることは皆さんご存知ですね(ご存知あるか)。
ダイナが死にかけのディナスを生かすために与えた光が、ラヴィー星人という生物に共鳴する存在と呼応して生まれたのがウルトラマンディナス。
そしてその光を受け継いだのがアスミ・カナタ(今作)のウルトラマンデッカー。
更にその光を受け継いだのがデッカー・アスミのウルトラマンデッカー。
加えてその光を受け継いだのがアスミ・カナタ(TV版)のウルトラマンデッカー。

 

ここまで読んだ皆さんならもうお気づきですね。
そう、今作のウルトラマンデッカーの本名はウルトラマンカナタなんだよ!!!!!!!!

 

 

はい。
そういうことです。
キャッチコピーの"始まりのディナス"とはマジで始まりだったという話。
これに気づいたとき劇場でひっくり返ってオセロになっちゃった(オタクは嘘つき)。
実際今作のデッカーは他のタイプを一切使わなかったし、恐らくこの光は受け継がれていく度に強くなります。
はい。ワン・フォー・オールです(他の作品を出すな)。
僕こういう話大好き。次にこの光を受け継ぐ人がいるなら最高に楽しみです。

 


ここまでストーリーについて語ってきたので特撮についても一応語りましょうか。
超マンネリ。
以上。減点ポイントです。
武居くんは反省するように。がんばれ。お前なら出来る。やってくれ。やってくれないと困るぞ。

 

 

あと雑記

関智一をそういう使い方すると癖になりますよ。隣の東映を見てご覧なさい。ああなったらもう手遅れです。頑張りましょうね。

・ムラホシ隊長とカイザキ副隊長はちょっと添え物感あって残念。頑張りましょうね。

・グレースの再登場は素直に嬉しかった。好きなエピソードだし。でも助けてくれる宇宙人が多勢に無勢すぎませんか?いやあの作品で宇宙人を出すこと自体難しいのでわかりますけど。というわけでこれは頑張りましたねということで。

・トリガーのメンツを宇宙に飛ばしたというのをセリフで説明したぞんざいさ、まさにトリガーを象徴していてそうそう、それでいいんだよと頷いてました。あざす。

 


総評。
勿体ない減点ポイントはあったものの主題に対しては立ち向かい、答えを出した。
良い作品だったと思います。
ここまで怪文書を読んでいただきありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします。

仮面ライダーオーズ 新作と冒涜と彼の腕

みんなは仮面ライダーオーズ10th 復活のコアメダルは観てきたかな~~~~~??

おじさんは初日にウキウキして観にいったよ~~~~~!!

どうだったかって~~~~~?それはね~~~~~~~~~~!!

一時間椅子に縛り付けられて拷問受けてる気分だった。

 

観てない良い子は見なくていいよマジで。

観た悪い子は1600円払ったことに後悔しようね。

というわけで復コの何が悪かったのかみんなで考えよう!

多分にネタバレを含むので悪しからず。嫌な場合はブラウザバック推奨で。

 

 

仮面ライダーオーズ10th 復活のコアメダルとは何だったのか

仮面ライダーオーズは2010年に放送された12代目の平成ライダー

こんなWikipediaでわかるような情報はこれくらいにして。

オーズは激しい中だるみこそあったものの、美しすぎるエンドで平成屈指の人気を得るまでに至ったライダー。

だからこそ完結編を作られるまでオタクに支えられたわけだが、見事に期待を裏切られた。

仮面ライダーオーズという皮を被った冒涜的な何かが俺たちに襲いかかってきた。

この怪文書ではそんなオーズの美しくない終わりについて語ろうと思う。

 

映司の死に意味はあるのか

ないよ。

作劇的に意味がない。

映司が死んだことで世界観が広がるわけでもなし、むしろ閉じていく方向にしか進まない。

本編でアンクが死んだから対比として殺しちゃおう!というメタ的な意味ならあるんじゃないかな。

または今後続編を作ろうとする意思を削いでおこう!という意味合いか。

はたまたオーズはハッピーエンドであってはならないとでも思い込んでるのか。

映司はオーズ本編で明確に神に近しい存在として描写されていて、それから解放するためには死しかない、という見方も出来るが、客演で出た映司は別にそんな描写はされてないのであくまで小林靖子の世界観だけでの神であり、やはり死に話題性以上の意味合いを見出すのは難しい。

 

手を繋ぐことを忘れた映司

映司は死の間際、助けた子供が生きていたことで俺の手が届いた、と満足げに死ぬ。

このホン書いた人本編見てた?

映司の欲望は人一人助けたくらいじゃ満たされないし、そもそもオーズ本編で手を繋ぐことで無限に届く腕を実現させたわけで、一人で救った命なんて尚更オーズ本編とは逆向している。ナメんな。

映画劇中に"手を繋ぐ"というワードは出てくるんだけど、別の意味で出てくるし本質的に手を繋ぐことの意味がわかってないんじゃないかな。

思えば同じ人が書いたジオウオーズ編でもアンクなしで手を繋ぐことを覚えた映司が出てきてブチギレた記憶があるし、悉く俺の神経を逆撫でしてくる。

f:id:Nagosan315:20220315153822j:plain

よく言えたな



 

復活の理由付けが甘すぎる

アンク然り、他のグリード然り、800年前のオーズ然り、軒並み死んだキャラが復活するのだが、復活の理由がほぼ描写されていない。

グリードと800年前オーズは復活したとだけ伝えられて誰が何をどうやったかは一切説明なし。まぁ尺の問題もあるもんね~。ってアホか。客をミジンコくらいに思ってなきゃそんな雑なことせんわい。ミジンコだと思ってんだろうな。

そして肝心のアンクの復活は映司の今際の願いで割れたメダルが元に戻りました!という理由付け。そんな簡単に復活するなら10年放浪しねぇだろ。

仮に死ぬほどの欲望がアンクを復活させたと解釈するなら今まで死ぬほどでもないけどアンク復活させたいな~とかいうフワフワした欲望しか持ってなかったんかいとなるだろ。よく考えてからモノを書いてくれよ、観る相手は人だぞ。ミジンコじゃない。

 

媚びた演出の数々

媚びたね~~~~~~。

もう媚びっ媚び。

ウヴァの扱い、映司に憑くアンク、ロストブレイズの焼き直し、変身後に一緒に戦ってくれる映司、本編で聞いたようなセリフ、EDにOP起用、おたくクンこれが見たかったっしょ?w的な演出の数々。

グラハムガンダムを喜ぶ層が喜ぶ映画。

 

舞台装置となったキャラクターの皆さん

800年前のオーズさん、ただ暴れて世界壊して魅力の一欠片もなく本編の焼き直しみたいな殺され方で死んじゃった。

新グリードのゴーダさん、途中までは映司の欲望を叶えるためとか言ってたけど結局春映画のラスボスみたいな動機で凡庸なキャラクターにはめ込まれて死んじゃった。

復活したグリードさん達、適当に一回暴れてウヴァを馬鹿にした後死んじゃった。

みんなみんな雑に死んじゃった。

キャラを大事にしない奴はキャラに呪われて殺されるぞ。

 

その他雑感

・一つ褒めるとするならばゴーダの設定は悪くなかった。映司の欲望から生まれたグリードが映司の体を使って映司の欲望を叶えようとする構図自体は面白いと思う。が、力に溺れたら目的が突然ふんわりしだすのはやっぱりライターの力不足を感じるな。

・平成ジェネレーションズFINALでのことはアンクは覚えておいででない様子でしたのでなかったことにされたのでしょう。

あれが"いつかの明日"だったらどんなに美しかったことか。

「アンク、また会おう。お前と俺がいる、明日に」とまで言ってるわけだから、今回の"明日"には適合しないから排除されたんだろうな。

ところでFINALでアンクがアイス舐めた時の表情覚えてますか?三浦涼介の表情の演技凄まじくて鳥肌立っちゃったよね。閑話休題

・アンクが"泣く"のは完全に解釈違い。

泣くほどまでに映司に入れ込んでるならMEGAMAXでは違う表情をしてたでしょうに。

MEGAMAX時点で40年後を提示しているんだからそれを踏まえた映画作りをしていただきたい。

FINALがなかったことにされてるからMEGAMAXもなかったことにされてるのかも。

・伊達さんと後藤さん、出る意味あった?

サンドバッグとしての役割しか果たさなかったけど。

新型バースもあっさり出てきてあっさり転がったし。

オリキャスが全員集合という嬉しさだけしか俺に残してくれなかった。

・そもそも完結編を作るならメインライターに書かせるべきでしょ。

映司は小林靖子以外が書くと別人になるのは数々の映画で実証済み。

まして10年以上の期待がかかってるんだから木っ端に書かせていい題材じゃない。

アマゾンズもそうやって完結に失敗したんだから学ぶべきだと思うよ。

 

終わりに

仮面ライダーオーズは醜い姿になって完結した。

今後オーズのことを語る度にこの作品が顔を出すと思うと残念でならない。

ジオウオーズ編のように世界を再統合してなかったことになってくれないかな。

 

おわり。

ブシロードのニュースリリースはまともなのか

先日、大手ホビー雑誌ホビージャパンから面白いニュースリリースが発表された。

 

hobbyjapan.co.jp

 

実に重い処分であるが、いつどこで誰が何をなぜどのように行ったからこの処分が下されたのか全く書いてない。

ホビージャパンの一編集者が転売行為を容認するどころか買えない人間は努力不足とおたくクンを挑発する内容をSNSに公開したのが事の顛末だ。

酒にでも酔ってたのかな?

ともかく、何があったかわからないけど処分が下された以上の情報が得られないニュースリリースに、価値があるとは思えない。

Vtuber運営企業並の肌感覚である(Vtuber運営企業は何が起こったかわからない"匂わせ"リリースを書きがち)。

 

そこでふと思い出した。

ブシロードのプレスってしっかりしてたな……と。

 

bushiroad.co.jp

 

やだやだやだやだブシロがまともな企業だなんて認めたくないやだやだやだやだやだーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!

 

株式会社ブシロード東証マザーズの上場企業である。

苦しい。

はやくブシロ潰れてくれ。

 

おわり

「少女☆歌劇レヴュースタァライト」について、お話します。

みんなは「ブシロード」って、知ってるかな?

ブシロードというのはね、例えば、ボール紙に既存絵を印刷して金にすると気持ちがいいとか、あるいは自社の声優を金の力で強引にアニメにねじ込むことをすると気持ちがいい、といったことをブシロードというんだ。

よい子のみんなのこころは、心臓にあるんだよ。そして、心臓とブシロード、どちらが上かな?

もちろん、心臓の方が頭に近いから、上だよね?

ブシロードの汚い部分に心が集中するとね、その子は下の世界に生まれ変わるんだって。

イヤだねぇ。

今、ブシロードのアニメを見ていない子は、これから先、ブシロードのアニメを見ないようにしようね。

今、ブシロードのアニメを見ている良い子は、(観るのを)やめようね!

そして、お父さん、お母さんを含めた、みんなを大事にして、みんなのために、生きようね!

 

 

 

しかし俺は悪い子なのでブシロードのアニメを見てしまった。

みんなは「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」って知ってるかな?

天丼はこれくらいにして。

個人的にブシロードマーケティングが大変好みでないので、Twitterで評価されているのを見ながらも手を出さずにいたアニメです。

が、劇場版上映とともに話題が再燃したので、今期夏アニメ観るものが全く無いのも相まってつい最後まで見てしまった。

当方レヴュー歴6日、煌めく舞台に飛び込み参上!

99期生愛城♨、みんなをスタァライト、しちゃいます!

 

 

少女☆歌劇レヴュースタァライトを見た!

レヴュースタァライトは2018年の夏アニメ。もう3年も前のアニメっすね。

所謂群像劇で、名門音楽学校を舞台に、最後まで勝ち抜けばトップスタァになれるというめちゃくそ怪しいオーディションに挑む9人の舞台少女を描く、といった作品。

御託はここまで。

これがまぁ大変面白かった。

キャラクターの悩み・憧れ・目指すもの、様々な感情を説明した上で、レヴューという名の戦闘シーンでキャラクターの感情をぶつけさせるのが基本スタイル。

キャラ同士の感情に嘘がないし、説明の導線もしっかりしている。

きらびやかで派手な演出に、繊細な感情を乗せるバランス感覚、滅茶苦茶丁寧に作られてるアニメだと感じた。(声優の演技は丁寧ではない)(だからブシロ嫌いなんだよ)(やめろやめろそんな話をしているのではない)

 

そんな中突如本性を現す大場ななという存在。 

丁寧にキャラクターを描く作品だと思っていたらループモノの概念が飛び入り、視聴者の心を掴んで離さない。

 

そして煌めきの再生産という要素。

いくら折れても、理想をなくしても、舞台の上で古い自分を燃焼し、新しい自分を作り直すことで、舞台少女は何度でも生まれ変われる。

そうして生まれ変わった彼女らは、悲劇さえもハッピーエンドに作り変える。

 

ヤバいと思ったらもう最後まで見ていた。

年甲斐もなく感動してしまった。

 

 

キリンって何なの?

レヴュースタァライトを語る上で避けては通れない奴、キリン。

こいつは早い話が、厄介な視聴者代表です。

舞台少女の煌めきが見たいがために、オーディションを開き、視聴者として楽しむ。

我々と同じ罪人なのであるなぁ。

でもこいつ感情高ぶると実況するじゃん。映画館で隣の人間が騒いでるのと同じだからやめて欲しいんだよね。かなり無粋な視聴者だから仲間だと思われたくない。 

閑話休題

 

 

少女☆歌劇レヴュースタァライト ロンド・ロンド・ロンドを見た!

さて一気観してしまったレヴュースタァライト

これは劇場版も見ないと嘘だと思って映画館を選ぼうとした♨にツイッテアー・オタクから耳寄りな情報が。

「ロンド・ロンド・ロンドは結末が違うから見ろ」

こっ、こいつっ……ッ!総集編映画のくせに内容をいじってくるとは生意気な……ッ!

というわけで予習の時間を2時間追加した。

主にレヴューの総集編といった趣で、文字の演出が加わったりしてより豪華に。

ストーリーの大筋を掴んでる人に向けての復習映画といった感じだけど、大場ななだけはセリフの追加があったりラストシーンの後に登場したりとやりたい放題。

「舞台少女の死」という意味深な結末を残して終了。リアタイのオタクたちここから1年待ったの?インフィニティ・ウォーからエンドゲームじゃん……(オタクだから例えもオタク)

 

劇場版少女☆歌劇レヴュースタァライトを見た!

というわけで予習をして完全無敵最強超人になった俺は上映終了3日前の劇場に駆け込むのであった。 

f:id:Nagosan315:20210714221205j:plain

レイトショーなのに人が結構入っていた

 

いやー面白かった(語彙力ポジション・ゼロ)

映像・音楽表現の洪水だった。次から次へとレヴューに移り変わり、思考の整理をする暇もなくキャラクターの感情を浴びる生き物にされてしまった。

 

題材としては卒業と進路という、ともすれば陳腐でありきたりな題材だけれど、体感する本人にとっては今後を左右する大きな一歩。

その恐怖と戦う姿がレヴューとなって舞台少女らを彩る作品だった。

 

特筆すべきは今回のレヴューはオーディションではないこと。

ワイルドスクリーンバロックと名付けられた一連のレヴューは、舞台少女が舞台を終えたらどうすればいいのか、何をしたらいいのかを訴えかけるものだった。

「舞台少女の死」について、答えを出す瞬間の映像は劇場で見ないと勿体ない最高の表現だった。

 

そして、今回の舞台を動かすために燃やすべき燃料は舞台少女の煌めきではない。

舞台少女の煌めきをまた見たいという視聴者の欲望が今回の燃料になったのだ。

だからキリンは燃え尽きて消えていった。無粋な実況者がいなくなるのはそれはそれで寂しい。わかります。

 

 

最後の一瞬まで見逃せない、良作だった。うっかり触れてしまったが、正解のようで何よりだ。

 

 

でもやっぱりブシロは潰れた方がいいと思うよ。

 

おわり。

ゾンビランドサガリベンジはなぜ"無難に面白い"作品になったのか

昨日、ゾンビランドガリベンジが最終回を迎えた。

個人的に思うところもあったので、怪文書をしたためることとする。

 

ゾンビランドサガは2018年秋アニメとして放送された、いわゆるアイドルアニメだ。

しかしながら、放送開始までこれがアイドルアニメと知っている視聴者は少なかった。

作品の情報が放送までひた隠しにされていたからだ。

故に、この作品のクリエイターは誰も期待していない中で自分が面白いと思う作品を世に送り出した。

そのクリエイターが信じた荒唐無稽な設定と地に足がついたストーリーは、無名の新規タイトルとは思えないほどヒットし、爆発的な人気を得るに至った。

 

そして2021年春、十分な準備期間を経てゾンビランドサガは2期を放送した。

しかし、ゾンビランドサガは今や無名の作品ではない。

アイドルアニメだということは誰もが知ってるし、メインキャラクターがゾンビだという斬新な設定ももちろんバレている。

それでもそれはサイゲームスが送り出す最強の作品で、制作会社MAPPAの代表作だ。

 

失敗は許されなかった。

 

クリエイターが出した答えは『絶対に外さない弾を撃ち続ける』ことだった。

それは、サキのオリジンだったり、愛とアイアンフリルだったり、純子と愛の関係だったり、テレビで活躍するリリィだったり、山田たえの日常だったり、ゆうぎりの過去だったり、絶対に諦めないさくらの姿だったりして、視聴者の前に現れた。

1期で積み上げた”視聴者が見たいもの"を2期ではひたすらに映し続けた。

それ故に、視聴者の期待通りの面白さを発揮し、視聴者の期待を超えることなく作品の幕を閉じた。

かくして、ゾンビランドガリベンジは"無難に面白い"作品になったのだ。

 

ところで2期のラストシーンについて。

導入としては信じられないほど雑で、空いた口が塞がらなかったが、視聴者の度肝を抜いてやろうという気骨は感じた。

それは1期の頃にあったクリエイターのハングリー精神の現れだと思う。

2期で"視聴者が見たいもの"のほとんどは消化された。

もし3期をやるつもりであるならば、今度こそこの作品の挑戦になる。

その挑戦を心待ちにしている自分は、どうしようもなくゾンビランドサガという作品のファンなのだ。

仮面ライダードライブはいかにして俺を失望させたのか

みなさんは仮面ライダードライブという作品をご存知ですか。

そうですね、観る汚物です。

いいトシして仮面ライダーというコンテンツに関わり続けて二十余年、履修した作品数十作の中でも嫌いな作品はこれを除いて他にありません。

この怪文書では仮面ライダードライブがいかにクソであるかをひたすらこき下ろしますので、仮面ライダー糞"糞糞糞"が好きなどと恥ずかしげもなく公言する文化的素養を一切持たない無知蒙昧な未開の森に住む底辺住民税未納類人猿の皆様方におかれましては不愉快になる前にブラウザバックを推奨しておきますね。

 

仮面ライダードライブについては詳しく説明しないのでどういう作品かどうかはWikipediaでも読んでください。時間の無駄だと思いますけど。

とりあえず主人公は泊進ノ介、敵はロイミュードくらいは覚えておいてね。

迫真ノ介(せまりしんのすけ)は類似品。

それでは行ってみよう(バラエティ番組) 

 

 

 

仮面ライダードライブ悪行の数々

泊進ノ介は正義を持たない

物語序盤で『人間の本質は悪』ではないかという命題を突きつけられた泊。

それに対し彼は『人の本質は悪かも知れないが、だからこそ頑張っている人間が輝く。正義ではなく市民を守る』という結論で返します。

彼は正義の所在を否定し、正義のため動いていないことまで断言します。

となると正しさを確保していない彼の言動は周囲のキャラクターや視聴者が「彼は正しい」と盲目的に信じなければヒーローとしては成り立ちませんね。

この時点で相当キャラクターとしては終わってるのですが、加えて彼は警察官だということがまずい。

社会的正義を守る警察官でありながら正義などクソくらえ、尊属殺人を現場で見逃したり、犯罪者に対して高圧的に出たり、ロイミュードを勝手に裁いたりとやりたい放題。

その行動が正義であると担保しているのが警察という公権力なんだからもう滅茶苦茶ですよ。

では、その正義を保証してくれる警察が泊を悪と認めたらどうなるんでしょう?

こいつ、指名手配受けた時は逃走します。

ロイミュードは自分の行動が本当に正しいと思って犯罪に手を染めた本当の意味での確信犯であって、それを公権力で殺害していたのが泊です。

その泊が公権力に悪と認められ反逆してしまえば、精神性はロイミュードと何ら変わりありません。そんな二枚舌が許されるはずがない。

そもそも正義の所在を主人公にしなかった時点で警察に裏切られるネタはドン詰まりになるので絶対やっちゃいけないんですけど、何も考えてないんでしょうね。

正義に従う気は更々ないが、正義が与えてくれる力は余すことなく使う。こんな人間をヒーローとして僕は認めたくはありません。

自分の信じるものだけが人を救うと本気で思ってそう。とんでもないサイコパスだな。

こいつの事、仮面ライダー界のジャイアンと呼んでるんですが流行りませんね、これ。

 

 

心を持った機械生命体を認めない

ドライブにおける敵役であるロイミュードは機械生命体で、機械でありながらそれぞれ心と感情があり、自分の思う正義に基づいて動いています。

彼らは自分たちを生み出した科学者の1人である蛮野から虐待を受け、復讐に近い形で人間たちを襲い始めました。

最終話にて泊はロイミュード最後の生き残りであるハートに対して『ロイミュードは人の真似をしただけ』であるとして悪でないとし、人の悪意が彼らを生んだとしました。

1年間やっておいて機械生命体の感情はすべて人間の真似とは大きく出たな。

まして、ハートは最後にドライブとの一騎打ちを望んでおり、それを拒否した上でのこのセリフ。でハートは『最後に友達が出来た』などと戯言をかまして数分前のラスボス戦で受けた致命傷によって死にます。

????

ハートは最後の願いすら叶えられず自分の感情を人間の猿真似と否定されているんですが、どっか頭のネジ外れてるんですかね……。

しかもVシネの仮面ライダーハートでは全力で戦って死んだなどとも言ってましたね。お前戦わせて貰えなかったんだぞ。どっか頭のネジ外れてるんですかね……。

僕個人としては、キャラクターの感情の主体はあくまでその感情を抱いたキャラクターであって、それの起源が何であろうと他人に否定されてはならないと思うんですけど、お前どう?

何が恐ろしいかって、この結論がロイミュードの感情を否定することになってないと本気で思ってそうなシナリオが恐ろしい。

罪を犯したという当事者意識が存在していない人間ほど悪であることはないと思うよ。

f:id:Nagosan315:20200120051859j:plain

まだドライブを信じていた頃

 

 

殺人を見逃す倫理観

ロイミュードの感情は人間の模倣である。

この結論は裏を返せば、彼らロイミュードの心を否定することで人権を認めず、機械生命体を公権力の名の元に殺害したことを正当化したことに繋がります。

ロイミュードを人と同等に扱えば害獣駆除が殺人になってしまいますからね。

では、その模倣元である、害獣を虐待した犯罪の引き金的な人物である科学者・蛮野の処遇はどうするべきなのでしょう。

彼は人間ですし、ロイミュードの悪意の生みの親である以上、法に基づいて処理しなければ筋が通りません。

が、蛮野は警察協力者の民間人(職業:カメラマン)に殺害されてしまいます。

本来であれば問題になってしかるべきですが、現場で起きたことなので泊はこれを平然と見逃します。

後に問題となった描写は一切出てきていません。

こういった自分の身内であるなら平気で物事を隠蔽する倫理観。

仮面ライダードライブ王国ではこういうのをヒーローと呼ぶのだろうね。

よく剛vs蛮野は熱いシーンなどと呼ばれて紹介されるんだけど、これがあるから複雑な気持ちで眺める羽目になりますね。 

 

 

人間の悪意に対抗する手段が弱すぎる

ロイミュード犯罪は人間の悪意によって生まれたため、ロイミュードは悪くないとこの作品は結論づけました。

では、その人間の悪意はどう対処するのか?

脚本を書いた三条陸とかいうクソボケノータリンチンカス三流脚本家は最終回でその結論を出しませんでした(笑)

笑い事ではない。

仮面ライダードライブは最終回の翌週に特別編があり、そこで別の脚本家が泊に『人間の悪意は尽きないから対症療法で俺が当たっていく』などと言わせました。

別種の生き物の感情を否定した上に泊だけが解決法ないけど頑張ります!と言ったところで誰が納得すると言うのか。

泊が警察退職したらそれ誰がやるの?

おい脚本担当の三条陸、お前の存在醜くないか?

 

 

展開の引き出しがない

「進ノ介!これ以上は爆発する!」

「大丈夫!特に理由も理屈もないけど大丈夫!」

「よし、付き合おう進ノ介!」

付き合うな。

仮面ライダードライブは本当に何度も何度も同じ展開を繰り返します。

理屈はないけど無茶してノーリスクで通っちゃうし(ツインマキシマムって知ってる?)、キャラクターは一度死んでも蘇るし、泊は何度も指名手配されるし、アレって悪なの?という話を何度も蒸し返すし、倒したと思った敵がコアだけ逃げちゃうし。

報道で指名手配や死亡報告されては撤回される奴がヒーローヅラしてるのあの劇中の民衆はどういう気持ちで見てるんですかね。普通は信用しないと思うけど。

特に悪意のくだりに関しては○○編みたいな大枠のストーリーの度にやってます。

で、結局結論は出さず最終的に上記のアレですよ。

人ナメてるのも大概にせないかんちゃうんか?

 

 

死んだキャラクターが蘇る

死という要素はストーリーを動かす上で大変大きなポイントだと思います。

なぜならそれが不可逆的なものだから。

戻せないからこそキャラクターの最後に思いを馳せるし、動いていくストーリーに一喜一憂するというもの。

が、この作品においては違います。

主人公の泊も、2号ライダーの剛も、3号ライダーのチェイスも、敵の幹部も、大体の主要キャラクターはどっかしらの媒体で死にます。で、なんやかんや蘇ると。

チェイスなんて中盤でコア爆発してるのに理由なく蘇ってますからね。ナメんな。

ポンポン蘇生されると死が軽くなるんですよね。

死んでもどうせ生き返るやろwみたいな感情に支配されて物語に集中出来なくなる。

芽生えた感情を人の真似だと断じてしまうような連中には人の気持ち考えるの難しかったか?なら仕方ないわね。死にな。

 

 

子供向けと子供騙しを履き違えたギャグ演出

BGMをひたすらスクラッチして俳優にオーバーリアクションさせて笑いを取ろうとするアレです。

寒いよ。

シリアスであるべき戦闘シーンでもとりあえずやる。何が何でもやる。

特に顔の四角い刑事と敵のメガネとニラだかスイセンだかわからん名前の奴は酷い。

自分から俺ってコメディリリーフなんだぜ?面白いだろ?みたいなツラして舞台演劇でもやらない白痴みたいな動きで暴れまわる役者の暴走を止められるスタッフとかいなかったんですかね。

演技指導でやってたの?じゃあもうなんつーか、仕事やめな。

 

 

俳優陣が嫌い

f:id:Nagosan315:20200120052001j:plain

人として最低

……。

仮にもヒーローをやっていたわけですよね。

自覚とか矜持とかそういうものは持ち合わせてないんですかね。

子供はお前を見て育つんだぞ。こんな人間が仮面ライダーをやっていたことが憎い。

そんなんだからお前のライダーは東映本社に飾られてないんだよ。

 

 

終わりに

思うままに書いてしまいました。

すぐに仮面ライダードライブのことを悪く言うのはよくないですね。

生ゴミをヘドロになるまで煮詰めて三日三晩熟成させた上で天日干しにしたような作品を好きだと公言する箸が転んでも笑うような恥知らずの見るもおぞましい人種もいるわけですし、目に止まったら不快にならないよう今後は仮面ライダー糞"糞糞糞"とぼかして表現することにします。

 

それにしても仮面ライダードライブのこと思い出すといつでも新鮮な怒りが蘇ってきますね。

これって永久機関かな?

ノーベル賞じゃん。ノーベル泊進ノ介賞。